どうもふしめろです。
嫌われる勇気を読みました。
久々の読了記事です。張り切ってまいりましょう。
なぜ今更アドラーなのか?
なぜ僕が今更アドラーを読んでいるか?そう疑問に思われるかもしれません。
思えばアドラーは2015年半ばにブームが起こったように感じます。
そうであれば、2015年中に読むのが流れとしてはわかりやすいですが僕はあまり流行に流されず好きなように生きているので今このタイミングで読んでいたのです。
人生にはタイミングと言うものがあり、今ここでなければ成しえないことと言うものがあると思います。例えば僕の好きなPerfumeが3回目のワールドツアーを去年成功させたときに歌い上げたこの曲
3回もワールドツアーを成功させればアイドル人生として極まったと言っても過言ではないでしょう。1回ではなく2回ではなく3回目、ここに至った時にこそ今までの局長をがらりと変えて重みをもって歌い上げられる曲。それがこの曲なのです。
ここまでの話ではないにしろ、読了後の思いとしては去年ではなく一昨年ではなく来年ではなく今この時読むべき内容であったと断言できます。すべては今この時なのです。
哲人と青年の対談を通して
この本は哲人と青年の対談形式で話が進んでいきます。
青年は哲人の主張が腹立たしいほどに納得できないのです。
すなわち
人は変われる
世界はシンプルである
誰もが幸福になれる
この3点がどうしても納得できないと青年は主張し哲人に議論を吹っかけてきます。
お察しの通り最後には青年が哲人の主張に納得するのですが、問題はそこではなく青年の主張がことごとく僕の心をえぐってくるその一点が最重要視されるべきでしょう。
僕は全く青年の立場でこの本を読み、その主張に力を込めました。
世界はこうである!かくも複雑なもので荒波に飲まれる小舟のように僕らは揺蕩うのだ!と。
しかし、この本の青年と僕が唯一違うのは、哲人の言うことがうすうすわかっていたのです。いや、うすうすわかっていたというよりは、世界はそうであってほしいと願っていたのです。
明日もまた太陽が昇り世界を照らすように、冬が明ければ春が来るようにそう願っていました。
多分この青年も心の底ではそう願っていたのでしょう。で無ければわざわざ哲人のもとに何度も通い話を聞くはずがありません。
名著バビロンの大富豪:第一章にこうあります。
バビロンの大富豪---言及記「第一話財産を築くには不滅の「原則」があった」 - 東屋書店
アルガミシュがアルカドのもとに何度も戻って来て忠告を与えたのは、闇から光の世界へと自ら道を切り開こうと苦労している人間を見守っていたからだ、と言うことが分かったのだ。
その人間が光を見つけたとき、一つの地位が待っている、ただし、自ら努力して理解できるようになるまで、また、チャンスをものにする準備ができるまでは、その地位に就くことは誰にもできないのだということも。
おそらく哲人は青年が今まさに闇の中から光の世界へもがきながら向かおうとしているのが分かったのでしょう。であるからこそ、何度も青年を快く迎えいれ長時間の対談を行った。
そうであるならまさしく僕はこの青年と同等でありアドラーのような世界を望んでいたのです。
共同体感覚について
この本の中では共同体感覚と言う言葉が出てきます。
アイザックアシモフのロボットと帝国にダニールと言うロボットが語るこういう一節が出てきます。
と言ってもやる夫AAのものなんですけどね。買おうと思っても下がプレミアですごく高いので再販してくれないかな?まあこの記事を書いてる途中に手がすべって上下買っちゃいましたけど。
きっかけは、イライジャ・ベイリの言葉でした
あの方は……わたしのパートナーは、臨終の床でこのように言われたのです
人類ひとりひとりの仕事は人類全体に貢献しているんだお
だからそれは全体の一部になって、永遠に消えることはない
その全体は、過去も、現在も、そして未来も……何万年もかけて、一枚のタピストリーを織り成してきたそいつは次第に精緻になって、おおむね美しくなった
スペーサーだって、そのタピストリーの一部なんだお!
そして奴らだってタピストリーに貢献し、その模様を精緻に、そして美しくしてきたんだ……!やる夫の生命はタピストリーの糸
全体に比べたら、たかが一本の糸
そんなものが……どうだって言うんだお?
ダニール、お前は、このタピストリーのことだけを考えろ.一本の糸が消えたくらいで動揺しちゃダメだお.
他にもたくさんの糸がある
それぞれ貴重で、立派な役割を果たし・・・・
やる模 【やらない夫と】銀河帝国興亡史 【二人の友人】・第2部 ロボットと帝国 第八話 『獲得』
これが共同体感覚の全体像に対する一つの理解なのではないだろうか?と、僕は考えます。
ロボット三原則はアイザックアシモフが考え出した原則で現在のロボット工学にも多大な影響を与えている。文に出てくるダニールはロボットであり、詳しいことを省くが人間たるイライジャ・ベイリの死と言う現実に耐えきれず電子頭脳が自壊する危険があった。
そこで、イライジャ・ベイリは自分の死を気にしないで生命のタピストリーを考えろと言ったのだ。わたしとあなたの最小共同体単位から生命のタピストリーと言う共同体単位に意識を向けろと言ったのだ。
そして、ロボットと帝国のロボットたるダニールはこの話を解釈しロボット三原則の上位原則まで構築します。
第零条
ロボットは人類に危害を加えてはならない
また、危害を看過することによって、人類に危害を加えてもならない
比較としてアドラーの共同体感覚をおさらいしましょう。
さらにアドラーは、共同体感覚の範囲を宇宙にまで広げました。
「(連帯感や共同体感覚は)それは、ニュアンスを違えたり、制限を受けたり拡大されたりしながら生涯続いていき、機会に恵まれれば家族のメンバーにだけでなはなく、一族や民族や全人類にまで広がりさえする。それはさらにそういう限界を超え、動植物や他の無生物にまで、遂にはまさに遠く宇宙まで広がることさえある」
第4回 アドラー心理学のツボ、「共同体感覚」とは何を意味するのか | Akira Nakano's Web Site | Akira Nakano
どこか似てると思いませんか?
もしかしたら真の共同体感覚とは人間と言う枠から一つ外れ、大局を見据えることができる存在が体感できるのかもしれません。
まとめ
僕は対談形式の文章が非常に好きです。双方が自分の考えをぶつかり合わせるその思考の渦がとても大好きなのです。
僕は常々人間は思考が本体であると思っているので、その本体がぶつかり合い研磨され光り輝く対談と言うものが大好きなのです。
いつか僕はあなたと対談してみたいと思っているくらいです。もちろんその時はおいしい紅茶とお茶菓子を用意しますよ。
また、文学的SFには小難しい設定が多いですがその実非常にシンプルな題材を取り扱ってることが分かります。
それは、人間とは何か?私とは何か?精神とは何か?といった人類の本質に迫る哲学的な話です。
壮大なスケールの話なのにそこまでし無ければシンプルに物事が伝わらないのってなんだか不思議ですね。