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水素水というミネラルウォーター業界のレッドブルについて

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水素水を飲もう!

と、最近顕著に取りざたされているが、一体いつからそんな話が始まったのか?

Googleで期間を指定し検索してみると、大体1999年から2000年にかけて検索結果が商業的な結果が増え始めるので今から約16年前から存在すると言うことになる。

まさか16年も続くロングセラー商標であるとは夢にも思わなかったので素直に驚いた。よくもまあ16年も根気よく作り続けた物だ。一部の企業は平成二年つまり26年程前から製造していると豪語している。いやはや、新商品が生まれては消えを繰り返す中この根強い人気はどこから来るのだろうか?

ちなみに僕は水素水についてこう言う見解を持っている。

今回はこれについて考えてみようと思う。

なぜそんな発想が出来たのか?

正直言って、そもそもの需要が工業用途以外ほぼ無いところから健康食品に参入するその発想自体が僕には到底出来そうも無い。仮に出来たとしても一笑にふせるか、疲れているのか? と首をひねるだけだろう。

 

こう言う世に出ていないような新製品を開発し、売り出す場合は必ずどこかから横やりを入れられるはずだ。

やれそんな物は売れるわけが無いだの、市場ニーズと乖離しているだの、コアコンピタンスがコモディティ化されてパラダイムシフトのブルーオーシャンがどうのこうの――

使い慣れない横文字はおいといて、とにかくそれらを押しのけてまで、必ずこの商品を作り上げ、顧客に提供しなければならない! と言う意思には脱帽ものである。水素の医療活用についてもいくつも論文が出ているから健康にいいはずだ!*1 と言うことは水素をとかした水を飲むと健康にいい!*2 と熱い決意を持って企画開発したのだろう。その熱量には頭が下がる思いだ。

この商品の企画者はシリコンバレーのITベンチャー並みの精神力が備わった傑物であろう。

販売戦略の匠

しかし、出発したはいいものの、開発を進めていくうちにどうやって水素水をパッケージングするかという難題にぶち当たっただろう。たとえ水素を水に溶けさせたとしても、ただのペットボトルでは水素が抜けてしまうと言うことはわかったはずだ。

Hydrogen Gas Cylinder is Red in Japan
By Jkr2255 (投稿者自身による作品) [CC BY-SA 3.0 (http://creativecommons.org/licenses/by-sa/3.0) or GFDL (http://www.gnu.org/copyleft/fdl.html)], via Wikimedia Commons

 

このようなボンベでも徐々に抜けていくらしいのだ。当然そのような気体を水に溶かしただけで突然抜けなくなるわけが無い。水素を捕まえようとすればその手間が増え、容器の値段が高くなるのは必然的だ。それではただの妙ちくりんな水だ。これでは売れない。

そこで彼らはどうしたのか?

 

容器を高いままにした

 

むしろ水素を保持するためにさらに密閉度を高め、さらに値段を上げている。

なるほど、実際、水だけでは無く容器も一緒に届けるのだからその分の負担はやむなしと言った考えだろうか?

しかし、水素水の実態は誰がどう言おうとミネラルウォーターだ。つまり主戦場はミネラルウォーター業界のはずである。

大体330mlで高くても100円前後、安ければ60円代というミネラルウォーターの中で水素水は高くて400円前後、安くて100円前後とワンランク上の価格帯だ。

通常なら企業努力の怠慢と言われて大バッシングされて売れるわけが無い。

 

しかし、ここでも企画者の才覚が顔をのぞかせる。

 

ミネラルウォーターとしてでは無く健康補助食品として売りだした

 

まさにコペルニクス的転回である。

そもそも、水素水を飲むと健康にいいと言う出発点で商品企画をしたのだ。届けるべきは顧客は健康について興味がある層、既に健康補助食品を常日頃から買いまくっている層のはずだ。断じてミネラルウォーターを飲みまくっている層では無い。

ここまで考えると、ふとある事例を思い起こさせる。炭酸飲料業界でコカコーラ、ペプシの2大巨頭から一歩ずれて大成功を築き上げたレッドブルだ。

レッドブルに学ぶイメージ戦略

ざっくりとした説明すると彼らは栄養ドリンクに炭酸を添加して売り出していた。しかしながら炭酸業界にはコカコーラ、ペプシという不動の王者がおり、そのまま炭酸飲料として売っていたら売れるわけが無い。しかし、若者向けの炭酸飲料として狙いを定めて、クラブやエクストリームスポーツなどの刺激のある媒体を通して若者に対する露出を増やした結果、レッドブルのイメージをただの炭酸飲料では無く、かっこいい炭酸飲料として認知させることに成功したのだ。と言うイメージ戦略超大事という話だ。

非常に乱暴な説明なので詳しくは本を読まれたし。

ひるがえって、水素水を見てみると、水素を添加し特異なパッケージと合わせて高付加価値をつけた後、ミネラルウォーター業界では無く健康食品業界に殴り込みをかけた水素水。

よく似ている気がしてくるでは無いか。

 

そして、今の水素水のイメージはどうだろうか? 我々はともかくとして健康食品愛好家の方々からは健康にいい飲み物というイメージで取り扱われているのでは無いだろうか?

 

事実、水素水ウォーターサーバーが健康と密接な関係を持つフィットネスクラブに導入されてついこの間話題になった。*3

しかもそのフィットネスクラブは水素水が設置されたと特設ページに特別プランまで作って大々的に宣伝している。さらに面白いのは、ただのウォーターサーバーを設置しているフィットネスクラブはほかにも山ほどあるがそこでは宣伝もなにもされていない。

非常に面白いギャップである。

これはつまり、本来の顧客層である健康に関心のある顧客層はどこか? と言った観点から主要顧客層が多く利用する健康施設に導入させることによって効果的に露出を増やすと言うイメージ戦略の一環なのだ。

ある意味、水素水は忠実にレッドブル戦略をなぞっている事例と言っても過言では無い。

 

 

 

追伸

ただ1つだけ疑問に思うのは、そこまでの企画が出来る天才が、水素水の作用についてこれほどまでに無頓着だったのは一体全体なぜなのだろうか?と言う点だ。

馬鹿と天才は紙一重と言うが、そうで無いことを祈りたい。

また、この記事を書くに当たって水素水を検索しまくった結果、どこもかしこも広告枠が水素水一色になった事についてはあえて詳しく書かないことにする。

*1:ここで注意してほしいのはただの水素についてである

*2:ここで注意してほしいのはなぜか水素を水に溶かした物をいいといっているところである

*3:KONAMIだけはと大いに嘆いたかたもいらっしゃるようだがそれは関係ないので置いておく