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もっと異常存在を際立たせて見せて欲しい 超難関ダンジョンで10万年修行した結果、世界最強に ~最弱無能の下剋上~:力水

 

以前のレビューを読んで居る方はご理解いただいていると思いますが、出来るだけネタバレをせずにどのような読後感を得られるかを説明したいため、不明瞭な書き方になることをご容赦ください。

総評:★★★

軽快な文章で読みやすい

ストーリーはしっかりしている

パンチラインも所々にあるが、ジャブをもっと細かく出して欲しい

現在の視点が誰なのか非常にわかりにくくつっかえる

主人公視点の地の文が展開を重ねる度にどんどんぶれていくので上記と相まって目が泳ぐ

Kindle Unlimitedで2巻まで出ているのでそこまで読んでから判断するとよいと思う

 

いくつかの作品のよい要素をしっかり踏まえて練り上げた素性のよいストーリーライン

ブラッククローバーのような幼少期の無能スキルスタート

 

 

ありふれた職業で世界最強の超絶修行+無双状態

これらにオーバーロードのエッセンス

 

 

を加えて作者の力水氏が丹精込めて練り上げると超難関ダンジョンで10万年修行した結果、世界最強に ~最弱無能の下剋上~が完成する。

 

最近わかったことだが、自分は異常存在を従えてなんやかんやすると言う展開がとても好きなようだ。今回の作品はまさしくそれなので普通に面白い。

願わくばもっと異常存在にフォーカスを当ててなんやかんやして欲しい。

 

しかし、ありふれた職業で世界最強もそうなのだが、修行を終えると口調や性格が極端に変化して誰にも敬意を払わないようになるのはなぜなんだろうな。性格が変わるほどの修行でしたを演出したいのかわからないが、一周回って幼稚に見える。まあ現実の老人は幼稚に見えることが多々あるので老成してしまったといえばそれまでなのだが。

 

尺の都合上仕方ないが1巻に要素を詰めすぎてキックが弱い

明らかに尺の都合と思われるが、中途半端に修行描写を書き込んでいるので1巻に納めるべき要素が多すぎている。

 

というのも修行描写も、修行終了後の展開もしっかり面白いため不完全燃焼になっている。どちらかに注力して欲しいと思う物の、展開上1巻で両方書き上げる必要があるため非常にもったいない・・・

 

これのせいでキックが弱くなっているため、読後感が期待値を下回る。面白いだけに悔しい気持ちだ。

 

いっそのこと割り切って分冊にする勢いで極厚にして欲しかった。

 

買うかどうか

Kindle Unlimitedで2巻まで読んで結論してよいと思う。

個人的は買ってもよいかなと思う。

 

 

俺たちは設定資料集を読みに来ているわけではないんだが? 転生したら皇帝でした~生まれながらの皇帝はこの先生き残れるか~:魔石の硬さ

 

総評

軽快で小気味よいサイコーなストーリ展開の合間に極太のガイドブックを読まされている気分。

キックとパンチの初速は十分あるものの、ガイドブックのせいで圧力が全部逃げている。

kindle unlimitedで2巻まで公開中。2巻で第一部完となるため、読後感はよい。

実験的小説と言われたら信じるしかないレベルの情報量

この手の国家運営物は周辺諸国との関係性を楽しむジャンルのため、読者に提供する情報量の管理が最重要になる。

少なすぎても多すぎても読者に不快感を残すため難しいジャンルだ。

国家運営物に近しいジャンルで比較的情報量管理がうまいのは、天才王子の赤字国家再生術 ~そうだ、売国しよう~だ。

 

転生したら皇帝でしたは、明らかに情報量が多すぎる。体感で言えば1/3まで減らしても全く問題はないだろう。

 

一通りの説明がすべて終わった後のストーリー展開は驚くほどしっかり面白いため、この情報量さえなければ非常に好まれるはずだ。

しかし、この面白いストーリー展開も急に挟まれる情報の壁によって寸断されている。

リニアに話を進めてほしい読者としては、素地が素晴らしいだけにもったいないという口惜しさがある。

 

買いかどうか

正直kindle unlimitedで公開されている部分まででよい気がする。

3巻がkindle unlimitedに入ったらまた読むだろう。