どうもふしめろです。
先日こんな記事を読みました。
この中で話題にされている内容をおおざっぱにまとめるとこうなります。
要求している能力に対して提示されている金額が極端に少なすぎる。
こんなのでは、似たような人材の市場価値が低く見積もられてしまう!
労働ダンピングもいい加減にしろよ!
本当におおざっぱなので詳しくは記事を見てね。
そして、今回この記事を読んで考えたのは。なんでこんなに社会的地位の良さそうな仕事が軒並み安いのか? ということです。記事中のツイートでは国連とかも無給らしいですね。
んー、美術に限らず体裁のいい見た目のいい「格好良さげな」仕事は基本安いですね。世界共通です。日本だけの問題ではない。国連のインターンなんかも同様。要求スペックすごいのに無給とか普通。ジュネーヴの家賃なんか15万円くらいザラ。金持ち子弟しか無理ww @takemichi01
— kurikuri321 (@kurikuri321) 2017年2月16日
何でこんなに労働ダンピングまがいのことが平然と行われているのでしょうか?
仮説その1 名誉職だから
名誉職とは組織に対し一定の功績がある人に向けて箔をつけるために創設されたり仕組みとして存在する職です。そして、名誉職には大方実質的な権限や責任が伴わないためお飾りの肩書きと呼んでも差し支えないでしょう。
なので常識で考えれば分かる通り、お飾りの名誉職なんかにお金を払えるほどこの世は甘くないので基本的には無給か出ても薄謝くらいのお金しか出ません。
それらを踏まえ考えてみれば上記で指摘する、体裁のいい見た目のいい「格好良さげな」仕事は名誉職の一例と考えても差し支えないかも知れません。
そうなると、マルチリンガルのスーパーエリート(?)人材を募集するその求人票は、ある意味そこまでの能力を持つ人材の箔付け名誉職枠と考えればその安さも通るでしょう。
仮説その2 社会的救済だから
実際、そこまで出来る人間が何らかの事情により一時的にアルバイトしなければならなくなったとした場合。驚くほど働くところが少ないと言うことに気が付くだろう。そんな人間がサイゼリヤか牛丼屋かスーパーのレジ打ちとか言う庶民の仕事なんかやってみれば、ぽろりと素性を話した瞬間いじめられる事が多いだろう。
マルチリンガルのスーパーエリート人材で無くても、東大卒の奴がコンビニや場末のスーパーで働いていたら、「あいつ東大出なのにこんなところで働いているのかよ」みたいに言われるし、そうで無くともプライドがずたずたに成ること間違いなしである。
言うなれば、どこへ行っても後ろ指をさされる高学歴、高能力の人間が、瑕疵なく働ける場所はこの社会には用意されていないのが現状で、そういった人達を一時的に助けるという暗黙の了解で出されるのが今回の記事でやり玉に挙げられている様な世間体だけはいい仕事なのではないのだろうか?
そういった意味では暗黙の社会的救済枠としての機能を有する求人なのではないだろうか?
仮説その3 利益をほとんど生まないポジションだから
労働に対しては責任が伴い、その責任とは組織に対して利益を生むことである。
コレはたった今考えた言葉ですが、例えば記事中に出てきた美術館の研究補佐ですが、どれだけ研究補佐が頑張っても、見物客が払うのは入館料とショップのお土産くらいです。しかしながら、この研究補佐の人が画廊やアートオークションで働くことができればその能力に対する報酬はどんどん上がっていくでしょう。
なので、結局の所公募されているポジションが組織の中の金食い虫であることが最大の原因ではないでしょうか?
そして、ここにマルチリンガルのスーパーエリート人材のような特殊能力者の報酬と牛丼屋とかの単純労働者の報酬が一緒、あるいは上な理由があります。
例えば牛丼屋で働いている人が頑張ったおかげで客の回転率が上がると、店の売り上げはどんどん上がっていきますよね。ですが、上記の通り美術館などではいくら研究補佐が頑張ったとしても、美術館が利益を上げるには広報・展示企画の人が客を呼び込み、ショップ販売員がグッズを売ると言った流れで利益が生み出されていきます。*1
そして、それ以外の人員はまともに経営を考えると無駄な人員以外の何者でもありません。ですが、美術館という特質上利益に直結しない学芸員や美術研究員の存在はなくてはならない物です。*2
そういった意味では、体面の良い仕事というものはあこがれではある物の利益を生めない職業なのだろう。