どうもふしめろです。
久しぶりに書評記事を書こうと思います。自分の限界とは何なのか? と言うことに切り込んだ一冊です。
いつも通りネタバレ含むのでその点はご容赦を。
- ある意味「掘り尽くされてしまった話」の中で、この本の存在意義とはなんなのか?
- 限界を外すのは世間の反発を買いかねない?
- 「あの人は成功している。そこには何か秘密があるはずだ」
- まだ限界を迎えていない人にこそ、この本をオススメしたい
ある意味「掘り尽くされてしまった話」の中で、この本の存在意義とはなんなのか?
この本の雰囲気はあの有名なTEDに近い物があります。為末大氏の経験*1を元にどうすれば自分の限界を超えれば良いのか? と言うことが書かれています。
でもこんな「限界を超える」みたいな内容の本や話って巷にあふれかえっていますよね。
こんな感じで実体験に沿った話をして、その成功から導き出されるちょちょいとした精神論語って終わり。良くあるパターンです。
僕からしてみれば、成功者の環境で起こった成功体験を聞かされたところで、私の環境で成功するとは言い切れない。と言えてしまいます。
そういった二番煎じがあふれかえる、ある意味「掘り尽くされてしまった話」の中で、この本の存在意義とはなんなのでしょうか?
本書は気持ちをたかめるだけの自己啓発書ではありません。めざしたいのはもう少し先です。
自己啓発のもう少し先
つまり、為末大氏はこの本を、巷にあふれかえる数多の限界超越本の枠から飛び出て、より実践的な本にしようと考えて書かれたと言うことです。
限界を外すのは世間の反発を買いかねない?
基本的に為末大氏は、「限界とは自分の思い込みである」をスタンスとして話を進めていきます。
そのため、導入の序章と第一章では「限界と言う事柄」についての思い込みを外すためのセッティングを行っています。
この章を読み進めていくと、ところどころ「これはどっかから反発を買いそうだな」と思う記述が多くあります。わかりやすく多少誇張して書くと、
- 目標を立てることによって、逆に自分に限界を設定してしまう
- 目標を下げたから、力を出し切れることがある
- 自分にとって、モチベーションが上がるのは目の前にニンジンがあるとき
- メダルを取ったとき「次の目標は何ですか?」と言われてまだ頑張らなくちゃいけないのかと驚いた
- 自分探しより世の中のニーズ
- ある選手が自殺を図ったのだが、その選手は真面目で礼儀正しい好青年だった。そういう選手は周囲の期待にさいなまれて潰れることが多いように思う。周囲の期待を意識すると限界の檻から脱することができません
これ以外にもまだまだあります。極めつけは、第二章にあるこの一節。
「成功体験」は最大の障壁である
という、「成功体験」全否定の箇所です。
あまりにも衝撃的な一節で、非常にエキサイティングしながら読んでいたのですが、セットで語られるなぜそうだと思うのか? は思わずなるほどと頷いてしまうだけの説得力があります。
「あの人は成功している。そこには何か秘密があるはずだ」
第二章では、この記事冒頭で出てきた、
僕からしてみれば、成功者の環境で起こった成功体験を聞かされたところで、私の環境で成功するとは言い切れない。と言えてしまいます。
この僕の思いを、単純な一言でまとめています。
彼らの成功法則は、個人に特化したものであって、真似できる本質ではなかった
素晴らしく単純化された一文です。この文を頭に叩き込むためだけにこの本を買っても十分おつりが来ます。
この一節では、梅原大悟氏の著書「勝ち続ける意志力」を引き合いに出されているので未読の方はぜひご購入されてはいかがでしょうか?
まだ限界を迎えていない人にこそ、この本をオススメしたい
どうも僕はこの本を読むべき人は、今まさに限界を迎えようとしている人ではなく、限界よりもかなり手前にいる人たちこそ読むべきなのではないかと思います。
何故なら、限界を迎える直前やすでに限界を迎えてしまっている人たちは、ここが自分の限界だと思い込んでしまっているからです。本書にある、「努力」が限界をつくる。という一節が丸々適用されてしまうからです。
であれば、まだ努力も何もしていない人たちにこそ、この本を読んでもらい、最初から自分には限界がないと考えて挑戦してもらった方がよほどいい結果が出ると思うのです。
もしも、あなたが何かに挑戦しているのであればこの本を読み、いずれやってくるかもしれない限界と言う柵をすり抜ける力となるでしょう。